
公開日:
2026/4/8
最終更新:
2026/4/8
「このままでいいのか」「専門スキルをもっと活かしたい」——そんな悩みを抱える動物看護師は少なくありません。この記事では、キャリアの選択肢ごとに年収・働き方の変化をまとめました。

「今の仕事を続けていいのか」「もっと専門的なことをしたい」「給料が見合っていない気がする」——そう感じたことがある動物看護師は、少なくありません。まずは、多くの現役動物看護師が抱える悩みの正体を整理してみましょう。
2022年に「愛玩動物看護師」が国家資格化され、採血や静脈内留置針の設置、マイクロチップの挿入補助など、これまで獣医師にしか認められていなかった業務の一部が、有資格者にも認められるようになりました。現場に期待が高まった一方で、実態は変わっていないと感じている方も多いのではないでしょうか。
動物看護師専門の転職エージェントであるペットナースエージェントが行った調査(2025年)によると、転職を決意した理由として最も多かったのは「資格やスキルをもっと活かしたい」で、全体の36.2%を占めました。国家資格を持ちながらも、電話対応・受付業務・清掃といった非専門業務が日常の大半を占めているという実態が、この数字に表れています。
(引用:【2025年版】動物看護師が「転職」を選ぶ本当の理由とは?現場のリアルな声ランキング)
厚生労働省の職業情報提供サイト「Jobtag」によると、愛玩動物看護師の平均年収は317〜352万円とされています。日本の平均年収(約460万円)と比べると100万円以上の差があり、人間の病院で働く看護師(約498万円)と比較しても大きく下回ります。
「動物が好きで選んだ仕事だから」と納得しようとしても、社会保険未加入・有給が取りにくい・残業代が曖昧といった職場環境の問題が重なると、生活の不安は無視できなくなります。「好き」だけでは続けられないと多くの動物看護師は、悩みを抱えています。
動物病院は、個人経営の小規模クリニックが多く、チーフ・主任・部長といったポストの数が限られています。「上が詰まっていて昇進できない」「先輩の働き方が自分の将来像に見えない」という状況もあり得ます。
また、業界全体として「動物看護師はこうキャリアを積む」という明確なモデルが確立されていないため、転職すべきか・今の職場で頑張るべきか、判断の軸すら持ちにくいです。

では、実際に動物看護師にはどのようなキャリアの選択肢がある。「動物病院に残る」「別の施設・業種へ移る」「新しい働き方を選ぶ」という方向性ごとに、年収の目安と働き方の変化を整理します。
同じ動物病院に在籍しながら、特定の専門分野(皮膚科・循環器科・腫瘍科・リハビリなど)の知識と技術を深め、その分野のエキスパート看護師として院内で認められるルートです。
年収の目安:300〜400万円(チーフ・専門担当になると+30〜60万円程度)
専門的な処置・検査補助・飼い主への説明対応など、業務の質が上がります。病院によっては「専門手当」「資格手当」が設定されていることもあり、愛玩動物看護師の国家資格を活かしやすい環境が整っています。
こんな人におすすめ:
今の病院や動物医療の現場が好きで、深く専門性を磨きたい人。
スキルアップに投資してくれる職場環境かどうかを見極めることが重要です。
スタッフの教育・シフト管理・新人育成・採用補助など、病院運営を支えるリーダー的なポジションを目指す方向性です。
年収の目安:350〜450万円
診療補助の現場業務は相対的に減り、管理・調整業務が増えます。「動物のそばにいたい」という気持ちが強い人には向かないこともありますが、病院経営に近い視点で働けるやりがいがあります。
こんな人におすすめ:
チームをまとめることが得意で、スタッフ教育や病院全体の底上げに関心がある人。
ペットフードメーカー・動物用医薬品・医療機器の営業(MR)、ペット保険会社のカスタマーサポート・査定担当など、動物医療の知識を病院外で活かすルートです。
年収の目安:330〜480万円(企業規模・職種による)
土日休み・残業管理・福利厚生の整備など、労働環境が整っている傾向があります。「動物に直接関わる機会は減るが、生活の安定を優先したい」という人に向く選択肢です。一方で、臨床現場から離れることへの物足りなさを感じるケースもあります。
こんな人におすすめ:
生活の安定・ワークライフバランスを重視したい人。
動物医療の知識をビジネス側から役立てたい人。
愛玩動物看護師の国家資格化により、養成機関側での実習指導・演習担当の需要が高まっています。自分の経験と知識を次世代に伝える教育職という選択肢です。
年収の目安:300〜420万円(正規雇用の場合)
夏期・冬期休暇が比較的取りやすく、長期的な雇用が安定しやすい特徴があります。授業準備・カリキュラム作成など、自己研鑽の時間が必要な一方で、学生の成長をそばで見られるやりがいがあります。
こんな人におすすめ:
人に教えることが好きで、業界全体の底上げに貢献したい人。
ライフイベントを見据えた安定した環境を求める人。
在宅ケアナースとして飼い主宅を訪問するペット往診、SNSを活用した動物看護の情報発信、セミナー・勉強会の講師など、組織に属さない働き方です。
年収の目安:200〜500万円(活動内容・実績による)
収入は不安定で、最初の1〜2年は準備期間として収入が少なくなることが多いです。ただし、専門性・発信力・人脈を積み上げていくことで、独自のポジションを築けるケースもあります。
こんな人におすすめ:
自分でキャリアをデザインしたい人。
副業として少しずつ始めながら可能性を探るのも現実的な方法です。

ここまで、動物看護師の大まかなキャリアについてご説明しました。では、自分にはどれが合うのか。見切り発車とならないように、次の3つの軸で自分の優先順位を整理してみてください。
この2つは対立するものではありませんが、どちらに重心を置くかでキャリアの方向が変わります。
現場密着を優先する人 → ①スペシャリスト、⑤往診・フリーランス
専門性・スキルの深化を優先する人 → ①スペシャリスト、③メーカー・MR、④教育職
以下の質問に回答しながら、自分はどちらがなのか考えてみてください。
今の仕事でいちばんやりがいを感じる瞬間はどんなときか?
5年後、どんな「自分の得意」を持っていたいか?
「動物に直接触れない日」が続いても満足できるか?
結婚・出産・介護など、今後のライフイベントを見据えて、「働き方」を軸に選ぶことも大切です。以下の表を参考にしながら、自分に照らし合わせてみてください。
優先したいこと | 向く選択肢 |
|---|---|
土日休み・残業管理 | ③ペット企業・メーカー、④教育職 |
時短・育休が取りやすい | ③大企業・④教育職(正規雇用) |
自由な時間配分 | ⑤独立・フリーランス |
専門性を伸ばしながら現場 | ①スペシャリスト |
「いつまでに、いくら上げたいか」を具体的にイメージすると、選択肢が絞れます。
+30〜50万円を2〜3年で → 同じ病院内でスペシャリスト・チーフへ昇格(①②)
+80〜100万円を3〜5年で → ペット企業・大手法人への転職(③)
長期的に400万円超を目指す → 教育職の正規採用 or 専門性の高い二次・三次診療施設(①③④)
重要なのは「今の病院でその目標が実現できるか」を客観的に判断することです。努力や工夫で変えられる部分と、職場の構造上変わらない部分を見極めてください。

キャリアの選択肢を整理しても、「そもそも今の職場をどうするか」という悩みが先に来ている方もいるでしょう。
転職や離職を考えはじめたとき、まず確認してほしいことがあります。それは、「辞めたいのは仕事が嫌いだからではなく、環境にある」という考えです。
「毎日電話対応に追われて、看護の仕事をしている感覚がない」
「受付・清掃・在庫管理まで全部自分たちでやっている」
——こうした状況に疲弊している動物看護師は多くいます。
この場合、辞めたい原因は「動物看護という仕事そのもの」ではなく、「動物看護師でなくてもできる業務を担わされている環境」にあります。動物病院の業務は多岐にわたるため、非専門業務が蓄積しやすい構造があります。
つまり、疲弊の多くは業務設計の問題であり、職場環境が変われば解消できるケースも少なくありません。
離職が生まれない職場の作り方について、詳細をご説明した記事がございますので、ぜひご覧ください↓↓
動物病院の退職・離職を防ぐ定着率向上|現場の疲弊を解消するには?
辞める前に、今の職場で以下のことが「改善できそうか」を一度確認してみてください。
改善の見込みがある職場のサイン
院長・上長が現場スタッフの声を聞こうとしている
業務効率化・システム導入に前向きな姿勢がある
専門業務と非専門業務の役割分担を整理しようとしている
逆に、これらが見当たらず、構造的に変わる見込みがないと感じるなら、転職を前向きに検討する段階かもしれません。「環境が変われば自分は変われる」という感覚があるなら、それは転職のサインです。
キャリア選択は「逃げ」ではなく、自分の専門性を正当に活かすための「意思決定」です。

この記事で解説した内容を振り返りましょう。
動物看護師のキャリアの悩みは「スキルを活かせない環境」「待遇の不満」「先が見えない」の3つに集約される
キャリアの選択肢は大きく5つ:①スペシャリスト、②マネジメント、③ペット企業・メーカー、④教育職、⑤独立・フリーランス
年収は現状の300〜350万円台から、選択肢と環境によって400〜480万円超も現実的
判断軸は「向き合い方の優先度」「ライフイベント」「年収目標の期間」の3つ
辞めたい原因の多くは仕事そのものではなく、職場の環境・業務設計にある
どのキャリアを選ぶにしても、「自分のやりたいこと、なりたい自分が実現できる場所で働く」ことが、長く活躍し続けるための前提条件です。そしてその前提は、自分一人の努力だけでなく、病院側の環境整備によっても大きく左右されます。
動物看護師が専門業務に集中できる職場をつくるために、院長・経営者にできることがあります。
Wonderは、動物病院向け業務改善プラットフォームです。「予約」「問診」「受付」「連絡」といった獣医師・看護師でなくてもできる”一般業務”をまるっと効率化します。
受付・電話対応にかかっていた時間が削減されることで、看護師が本来の専門業務
——診療補助・ケア・飼い主とのコミュニケーション——に向き合う時間が生まれます。
スタッフが「ここで働き続けたい」と思える環境が、採用力・定着率・来院数の向上につながります。
Wonderでは、現場の負担を削減した事例が多数ございます。ぜひ、病院経営のヒントととしてお役立てください。
Wonder導入後に、業務改善を実現した病院の事例↓↓

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