「紙カルテの保管場所が限界」「スタッフ間での情報共有をスムーズにしたい」といった理由から、電子カルテの導入を検討される動物病院が増えています。しかし、レセコン一体型や画像連携に強いものなど、製品ごとに特徴が異なり、選定に悩むケースも少なくありません。本記事では、主要な動物病院向け電子カルテ9選の比較に加え、導入前に確認すべきポイントを詳しく解説します。動物病院が電子カルテを導入する3つのメリット電子カルテ化は、単なる「ペーパーレス化」にとどまりません。病院経営の質を底上げする3つの大きなメリットがあります。①情報の検索・共有スピードが向上し、チーム医療が円滑になる紙カルテの場合は、一人がカルテを持っている間は他のスタッフが内容を確認できない一方で、電子カルテでは受付、診察室、処置室など、院内のどこからでも同時にアクセス可能です。過去の病歴や検査結果も一瞬で検索できるため、チーム全体の情報共有が圧倒的にスムーズになります。②カルテ保管スペースが不要になり、院内を有効活用できる法律で5年間の保存義務があるカルテは、年数を重ねるごとに膨大な量になります。これらをすべてデータ化することで、カルテ棚に使っていたスペースを、新しい医療機器の設置や入院室の拡充などに有効活用できるようになります。③検査機器や画像診断装置との連携で、診断の正確性が高まる多くの電子カルテは、血液検査機器やレントゲン(DICOMデータ)との連携機能を備えています。検査結果が自動でカルテに取り込まれるため、手入力によるミスがなくなり、飼い主様へも視覚的に分かりやすい説明(インフォームドコンセント)が可能になります。自院に合った動物病院向け電子カルテの選び方多機能なものを選べば良いというわけではありません。自院のスタイルに合うかどうかを以下の4つの視点でチェックしましょう。①クラウド型とオンプレミス型の違い初期費用安定性・使用できる範囲導入の手間クラウド型サーバー設置が不要で、初期費用が安い。ネット環境に依存する。ネット環境があれば、どこからも利用可能。保守管理(バックアップや更新)を業者が行うため手間がかからない。オンプレミス型専用サーバーを設置する必要があるため、初期費用が高い。ネット環境に依存しない。設置されている場所でしか使えない。データのバックアップ管理も自院で行う手間が生じる。老朽化に伴う買い替えが必要。②既存のレセコンや検査機器とのデータ連携性現在お使いのレセコンや検査機器とスムーズに繋がるかは非常に重要です。連携が不十分だと、結局二重入力の手間が発生し、現場が混乱する原因になります。③現場スタッフがストレスなく使える「操作性」多忙な診察中に「どこに入力すればいいか分からない」となっては本末転倒です。タブレット入力に対応しているか手書き感覚でシェーマ(図解)が描けるかなど、実際の現場を想定して、デモ機を使ってスタッフ全員で触ってみることを推奨します。④万が一のシステムトラブル時のサポート体制「システムが動かない=診察が止まる」ことを意味します。そのため、機能面や利益面、コスト面などに注目してしまいがちですが、トラブル時のサポート体制の確認・対応を見直しておくことが大切です。電話サポートの対応の時間がいつまでか代替機を貸し出しがあるかどうかデータバックアップの仕様はどんなものかなど、トラブルの際に慌てないために”サポート体制”を確認することが大切です。動物病院向け電子カルテおすすめ9選※掲載している情報は2025年12月時点のものです。料金や機能の詳細は、必ず各公式サイトで最新情報をご確認ください。1. アニレセ(アニレセCloud)アニコムパフェ株式会社が提供する、国内有数のシェアと圧倒的な保険連携力を誇るレセコン一体型システムです。特徴窓口精算の完全連動アニコム、アイペットといった主要ペット保険の請求業務が驚くほどスムーズ。レセコン機能の完成度16年以上の実績に基づき、複雑な診療点数計算やレセプト発行の正確性が極めて高い。充実のサポート体制専任スタッフによる電話・リモートサポートが手厚く、トラブル時の安心感が強い。顧客管理・統計機能予防接種のリマインド通知や、年齢・地域別の顧客抽出など、管理機能が充実。信頼の実績国内最大級の導入施設数を持ち、アップデートの安定性も抜群。おすすめの病院保険窓口精算が多く、会計業務の正確性とスピードアップを最優先したい病院。「止まらない、間違えない」という、システムの安定性とサポートの厚さを重視する病院。→アニレセ(アニレセCloud)の公式サイトはこちらから2. アーミックス(Ahmics)ペットコミュニケーションズ株式会社が提供する、国内トップクラスの実績と拡張性を備えたオンプレミス型システムです。特徴圧倒的な検査機器連携血液検査、画像診断など、多種多様なメーカーの機器とシームレスな連携が可能。高度なカスタマイズ性診療科目や規模に合わせ、画面レイアウトや入力項目を細かく調整可能。強固な権限管理スタッフごとに閲覧・編集権限を詳細に設定でき、大規模病院の組織運営に対応。オフライン稼働の安定性オンプレミス型(院内サーバー)のため、ネット回線の障害に左右されない安定した動作。複数拠点連携分院間でのカルテ共有や、在庫管理の統合にも対応するスケーラビリティ。おすすめの病院高度な医療機器を多用し、複雑な診療フローを持つ二次診療施設や専門病院。インターネット環境の不安定さを避け、常に高速かつ安定したレスポンスを求める大規模病院。→アーミックスの公式サイトはこちらから3. ペットクルーカルテ株式会社ピークスが提供する、顧客管理と飼い主様とのリレーションシップ構築に特化したシステムです。特徴強力な販促・フォロー機能DMラベル発行、ワクチンリマインド、誕生日メールなど、飼い主様をファンにする機能が充実。選べる導入プラン受付・会計メインのプランからフル電子カルテまで、必要に応じたステップアップが可能。ペット専用ポイント機能来院や物品購入に応じたポイント付与が可能で、継続的な来院を促進。シンプルな操作画面多機能ながら整理された画面設計で、PC操作に不慣れなスタッフでも習得が早い。証明書発行の容易さ狂犬病予防やワクチン証明書のテンプレートが豊富で、発行業務がスムーズ。サービスとの連携弊社の動物病院向け業務改善プラットフォーム「Wonder」との連携に対応。院内のワークフロー全体を効率化する拡張性を備えています。おすすめの病院地域密着型で、飼い主様への細やかなフォローを通じてリピート率を高めたい病院。いきなりフル電子化するのではなく、まずは会計や顧客管理から着手したい院長先生。→ペットクルーカルテの公式サイトはこちらから4. ハロペH株式会社ハロペが提供する、クラウド型の利便性と直感的な操作性を兼ね備えた、動物病院向け顧客会計管理システムです。特徴クラウド型・マルチデバイス対応PCだけでなくタブレットやスマホから、ブラウザ経由で場所を問わず利用可能。院内での持ち運びはもちろん、往診先や自宅からでもカルテや会計情報の確認・入力ができます。タブレット特化の直感的なUIスマートフォン感覚で操作できる、指で押しやすいレイアウトを採用。ICTに不慣れなスタッフでも迷わず操作でき、診療室での問診や処置入力がスムーズに行えます。導入初日から使える充実の初期データヒアリングに基づき、よく使われる薬剤情報などが予め登録されています。複雑な初期マスタ設定の手間を省き、導入したその日から会計処理や処方箋発行が可能です。低コストでの運用が可能月額利用料モデルを採用しており、高額なサーバー設置や初期費用を抑えた導入が可能。小規模な病院や、まず手軽にデジタル化を進めたい病院にも適しています。外部機器・サービスとの連携血液検査機器とのデータ連動(オプション)や、弊社の動物病院向け業務改善プラットフォーム「Wonder」との連携に対応。院内のワークフロー全体を効率化する拡張性を備えています。おすすめの病院高額なレセコンからの乗り換えや、初期費用を抑えてクラウド化を進めたい病院。タブレットを活用して、診療室や処置室など「どこでもカルテ入力」を行いたい機動性重視の病院。シンプルで直感的な操作性を求め、スタッフの教育コストを最小限に抑えたい病院。→ハロペHの公式サイトはこちらから5. miles動物診療簿miles株式会社が提供する、世界最高水準のセキュリティと拡張性を備えたSalesforceプラットフォーム基盤の動物診療マネジメントシステムです。特徴世界最高水準のセキュリティレベル 金融機関や官公庁でも採用されるSalesforceを基盤としており、極めて高い機密性と安定性を誇ります。大切な患者情報や病院データを安心してクラウド上で管理できます。院内コミュニケーションの活性化(Chatter機能) カルテや患者情報と紐付いた院内チャット機能(Chatter)を搭載。スタッフ間でのリアルタイムな情報共有や、診察内容に関するディスカッションをスムーズに行えます。教育と質を重視した診療記録(POMR/SOAP) 獣医学教育の標準であるPOMR/SOAP形式を採用。記述の形式が整うため、後診の際に経過を把握しやすく、新人獣医師や看護師の教育・スキルアップにも寄与します。サービスとの連携弊社の動物病院向け業務改善プラットフォーム「Wonder」との連携に対応。院内のワークフロー全体を効率化する拡張性を備えています。高度なデータ可視化・レポート機能 蓄積された診療データを、グラフやダッシュボードで即座に可視化。来院動向や売上分析など、経営判断に必要な指標を容易に抽出でき、病院の経営改善を強力にサポートします。おすすめの病院世界水準のセキュリティを求め、データの安全性とシステムの将来性を重視する病院。スタッフ間の連携や情報共有を強化し、チーム医療の質を高めたい病院。蓄積したデータを経営分析やスタッフ教育に積極的に活用したい、成長志向の病院。→miles動物診療簿の公式サイトはこちらから6. ミニイク(miniique)「使いやすさ」と「業務効率」を追求した、洗練されたUIが特徴の次世代クラウド型システムです。特徴iPad特化の直感操作診察室、入院室、受付など、場所を問わずタブレット一枚で全ての業務が完結。シームレスな業務連携予約、診察、会計、経営分析までが一本の線で繋がり、二重入力の手間を排除。手書きシェーマ機能患部のイラストに直接書き込みができ、飼い主様への視覚的な説明が容易。高いセキュリティ性 医療情報の安全管理ガイドラインに準拠し、データの暗号化と自動バックアップを標準装備。LINE連携飼い主様とのコミュニケーションを円滑にする機能も備え、再診率向上を支援。おすすめの病院iPadを活用して、ベッドサイドでのインフォームドコンセントを強化したい病院。スタッフの教育コストを抑え、導入初日から直感的に操作できる環境を求める病院。新規開業で、初期費用を抑えつつ最新のデジタル環境を整えたい院長先生。→ミニイクの公式サイトはこちら7. Vetty「獣医師を自由にする」をコンセプトに、診療現場の動線を徹底的に研究して作られた現場主義のシステムです。特徴診療フロー重視の設計獣医師の思考を妨げない画面構成で、入力のストレスを最小限に抑制。強力な入院・ホテル管理ホワイトボード感覚で使える入院管理画面があり、処置の進捗をチーム全員でリアルタイム共有。外部サービスとの柔軟な連携他社のWeb問診ツールや検査機器とも連携可能で、拡張性が高い。マルチデバイス対応PC、タブレット、スマホなど、シーンに合わせた端末で快適に動作。画像一元管理レントゲンや超音波画像、スマホで撮影した患部写真などをカルテ内で即座に閲覧可能。おすすめの病院入院動物が多く、スタッフ間の申し送りや処置ミスをシステムで防ぎたい病院。診察だけでなく、トリミングやホテルなど院内全体のオペレーションを一つの画面で把握したい病院。→Vettyの公式サイトはこちら8. Vet360世界的な獣医療グループ「A'alda(アルダ)」が開発した、圧倒的なスピード感と経営分析力を持つシステムです。特徴予約〜会計まで、院内業務をオールインワンで一元化飼い主向け予約ポータル/予約管理/診療記録/検査機器連携/会計管理/保険対応までまとめて運用できる設計。自院の運用に合わせて、カルテの型を作りやすいフリーフォーマット式のカルテなので、自院の運用に合わせた“オリジナルの記録テンプレ”を作りやすい。高速なシステムアップデートアップデートが定期的に行われ、現場の声をもとに改善が進みやすい。多施設運用にも対応複数施設で飼い主・ペット情報や診療記録を共通管理でき、転記ミスや重複の削減に貢献。検査機器連携に対応様々な検査機器と連携し、検査データをカルテと一元管理しやすい設計。おすすめの病院紙カルテの自由度を活かしつつ電子カルテに挑戦したい病院分院展開を視野に入れており、複数拠点のデータをリアルタイムで一元管理したい法人病院。→vet360の公式サイトはこちら9. PETORELU+(ペトレルプラス)「予約から会計まで」の連動性を追求し、受付の混雑解消を最大の武器とするクラウド型診療システムです。特徴予約・診察・会計のシームレス化カレンダー型の予約画面から、ワンクリックでカルテ作成、会計へと移行。初期費用の安さ初期費用0円から導入でき、導入時の経済的な心理障壁を低減。無料トライアル30日間の全機能無料体験があり、実際の操作感を納得いくまでテスト可能。自動レジ連動セミセルフレジなどとの連携により、会計ミスを減らし、スタッフのレジ締め時間を短縮。オンライン決済対応事前決済や後払いを活用することで、診察後の待合室の混雑を劇的に解消。おすすめの病院待合室の混雑が課題で、予約システムと会計の連動による「待ち時間削減」を優先したい病院。ランニングコストを抑えつつ、まずはクラウドシステムのメリットを試してみたい病院。→PETORELU+の公式サイトはこちらから電子カルテ9選の価格一覧表初期費用月額費用メモアニレセ0円5,390円〜顧客管理システム+電子カルテアーミックスお問い合わせお問い合わせペットクルーカルテ36,000円19,800円〜5バージョンありハロペH無償2,980円〜既存システムからの切り替えは別途で初期費用発生miles動物診療簿お問い合わせお問い合わせミニイク0円お問い合わせ既存システムからの切り替えは別途で初期費用発生Vettyお問い合わせお問い合わせVet36034.9万円月額34,800円〜初期費用は導入支援を受けた場合のみPETORELU+0円予約プラン 6,600円電子カルテAプラン 19,800円電子カルテBプラン 26,400円電子カルテ導入を成功させるための注意点メリットが多い電子カルテですが、導入時には以下の「痛み」を伴うことを理解しておく必要があります。紙カルテから電子データへ移行する際の負荷最も高いハードルは、過去の情報の移行です。すべての紙カルテをスキャンして取り込むのか、直近1年の来院者のみにするのかなど、現実的なラインを決めないと、スタッフが移行作業で疲弊してしまう可能性があります。「移行作業に際して、どのくらい手間がかかるか」「病院側でやらなくてはいけないこと」は注意して確認するのがおすすめです。導入初期の教育コストと診療効率の低下どんなに使いやすいシステムでも、慣れるまでは診察スピードが落ちます。導入から1ヶ月程度は、あらかじめ予約枠を減らしてスタッフが操作を覚える時間を確保するなどの配慮が必要です。インターネット環境の整備とデータバックアップクラウド型の場合はネット回線の安定性が生命線です。また、オンプレミス型の場合は自動バックアップ設定が確実に行われているか、定期的なチェックが欠かせません。まとめ:自院の診察スタイルに最適な電子カルテ選びを本記事では、動物病院向け電子カルテ主要9製品の比較と、選定のポイントを解説しました。電子カルテ化は、情報の共有スピードを上げ、チーム医療の質を向上させるための強力な武器となります。自院の診療件数やスタッフ数、そして「画像連携を重視するのか」「レセコンの使い勝手を優先するのか」といった優先順位を明確にすることで、最適な一台が見つかるはずです。「電子カルテはハードルが高い・・」そんな病院様には「デジタル化は進めたいが、電子カルテ導入に伴う現場の混乱が不安」という場合は、まずは大きな工数がかからずに導入できる「周辺業務」の効率化から着手するのもおすすめです。「デジタル化しよう」と一歩踏み出すなら”Wonder”電話対応や予約受付、紙の問診票といった診療以外の一般業務は、発生頻度が高く、スタッフの精神的疲弊に直結しやすい課題です。診療以外の一般業務を自動化化する「Wonder」は、電子カルテのような大規模なデータ移行の手間がない導入から最短1-2週間で稼働を開始でき、効果が現れやすい病院の効率化を進めるためには「最初の成功体験」として最適です。まずは周辺業務を効率にするところから、貴院のデジタル化を始めてみませんか?→導入病院の事例インタビューをチェックする