動物病院を開業する際、診療体制や設備の整備に意識が向きがちですが、「業務の仕組み化」をどのタイミングで行うかは、開院後の運営を大きく左右します。特に、電話対応や受付対応の効率化は、少人数で運営する開業初期にこそ取り組むべき課題です。本記事では、開業初期から業務効率化や患者満足度の向上に成功した3つの動物病院の事例をご紹介します。どの病院も、開業というタイミングを“仕組み化”の好機と捉え、柔軟で現実的な改善を実現しています。事例①:来院前に主訴を把握し、無駄のない診療体制を構築白兎どうぶつ病院(大阪府)白兎どうぶつ病院では、開業時から「来院前に患者情報を把握できる仕組み」を整えることを重視していました。院長自身、以前勤めていた病院で、予約時に主訴が分からず診察の準備に時間を要する場面をたびたび経験していたことが、その背景にあります。そこで、オンラインでの予約受付時に診察の目的や症状などを患者に入力してもらえるシステムを導入。あらかじめ情報が得られることで、検査機器の準備や診療時間の配分を事前に調整できるようになり、限られた時間の中でもより効率的な診療が可能になりました。また、予約メニューごとに「初診」「再診」「予防接種」などの項目が整理されており、スタッフ間での情報共有や対応の分担もスムーズに進行。開業初期からこのような仕組みを整えていたことで、スタッフも患者もすぐに運用に慣れ、トラブルの少ない診療体制を実現しています。事例②:電話対応ゼロで集中できる環境を実現ラハ動物病院(大阪府)2024年に開院したラハ動物病院では、獣医師1名・看護師2名という少人数体制でのスタートでした。開業準備の段階から、「診療中に電話で業務が中断されること」を避けたいという強い思いがあり、予約業務を最初から仕組み化する方針をとっていました。導入したのは、スマートフォンやLINEを使って患者が自分で予約を行える仕組み。リマインド通知も自動で送信されるため、予約に関する電話対応はほぼ発生せず、診療に集中できる環境が整いました。さらに、患者が予約時に主訴や症状を記入したり、画像を添付したりできるため、事前にある程度の状況を把握したうえで診察準備が可能に。初診・再診の振り分けも明確になり、スタッフ間での情報共有もスムーズになりました。「開業時は業務フローを整える絶好の機会」という院長の考えのもと、無理のない仕組みづくりを初日から取り入れたことで、少人数でも高品質な診療体制を構築しています。ラハ動物病院様の詳細インタビューはこちら:開業時から電話対応を最小限にし、診療に集中できる環境を作る方法とは?事例③:少人数でも属人化しない安定した受付体制を実現宮崎台どうぶつ病院(神奈川県)宮崎台どうぶつ病院では、開業当初は獣医師1名・看護師1~2名という体制でのスタートでした。診療と看護業務で手一杯のなか、電話対応に手が回らない場面が続き、折り返しの連絡や対応遅れによって、患者との信頼関係に影響する場面もありました。こうした背景から、予約業務の一部を自動化する仕組みを導入。患者にはオンラインで予約してもらい、来院目的ごとの注意事項(例:ワクチン接種は午前中、エコー検査は絶食が必要等)を予約画面上であらかじめ伝達できるように設定しました。これにより、受付業務のばらつきやスタッフ間の伝達漏れが減少し、案内の質が安定。電話対応も大幅に減少したことで、限られた人員でも診療業務に集中できるようになりました。結果として、昼休みや夜間といった今まで予約を取りこぼしがちだった時間帯での予約が増え、開業後の来院数は2倍以上に拡大。患者にとっても使いやすく、院内の運営にも余裕が生まれるなど、開業初期の体制づくりに大きく貢献しています。宮崎台どうぶつ病院様の詳細インタビューはこちら:動物病院の人手不足を“仕組み”で解決。Wonder導入がもたらした変化開業時こそ「仕組み化」に取り組むチャンス今回ご紹介した3つの動物病院に共通しているのは、「少人数体制での開業」「業務効率への高い意識」、そして「受付・予約の仕組みを早期に整えたこと」です。開業直後は、患者数が比較的落ち着いているため、業務フローや受付体制を柔軟に設計・調整できる貴重な時期でもあります。このタイミングで“仕組み”を整えておくことで、日々の診療やスタッフの動きがスムーズになり、将来的な混乱や非効率を防ぐことができます。なお、本記事でご紹介した3つの動物病院では、LINE連携・主訴入力・注意事項表示・画像添付などの機能を備えたオンライン予約システムを導入し、予約や受付業務の効率化を実現していました。この仕組みを支えていたのが、動物病院向け予約・受付システム「Wonder」です。直感的に使える画面設計と柔軟なメニュー設定により、ITに不慣れなスタッフでも無理なく導入・運用できる点が、多くの開業病院から支持されています。開業を機に効率的な運営体制を築きたい方は、ぜひ他院の導入事例を参考にしながら、一度ご検討ください。