千葉県で地域の一次診療を支えるとことこ動物病院様。来院患者の約1/3が薬やフードのみの受け取りで、その対応が大きな課題でした。「全面的な予約制は、救急対応や機会損失の面で避けたい」と考える同院が、どのようにして「部分的」な予約システム導入で、業務効率化と患者満足度の両立を実現したのか、お話を伺いました。「診察の渋滞」と「薬の待ち時間」が招いた二重の課題―導入前の最も大きな課題は何でしたか?当院は患者様の約1/3が「薬・フードのみ」の受け取りで、その対応が最大の課題でした。予約なしで急に来院されるため、電話対応や準備に常にスタッフが割かれていたのです。例えば、「今日、心臓の薬を数種類、数ヶ月分欲しい」といったご依頼が当日にあったりすると、準備が間に合わずお待たせしてしまい、患者様にもスタッフにも大きなストレスがかかっていました。―その課題によって、患者様やスタッフにどのような悪影響が出ていましたか?薬・フードのみの患者様と一般診察の患者様が受付に混在し、診察全体が渋滞していました。薬・フードで来院されても「まだ準備できていません」とお待たせしてしまい、患者様もスタッフもストレスを感じる悪循環でした。また、電話もひっきりなしにかかってくるため、お昼休みに電話が鳴ってスタッフが十分休憩できないこともあり、「なぜお昼に対応しないといけないのか」と声が上がっていました。―全体を予約制にせず、部分的に予約制を活用しようと考えた理由はありますか?全面的な予約制は、当院のような一次診療では救急対応がしづらくなる懸念がありました。また周りの先生を見ていて、予約が面倒で来院されなくなる「機会損失」も怖かったのです。そこで、一般診察は従来のまま来院順とし、まずはスタッフからも要望が強かった「薬・フード」や時間の読みやすい「ワクチン」を事前に受け付けて、待ち時間をできるかぎり減らす。このピンポイントな課題解決から始めようと考えました。「部分活用」を前提に選んだ、機能性と簡単な操作性―「予約」と「来院順」の混在で、オペレーションが複雑になる懸念はなかったですか?オペレーションが複雑になることは全くありませんでした。 むしろ、やるべきことが明確に「棲み分け」されたことで、スタッフからは「運用しやすい」と好評です。「1時間に何件までの予約」等を設定できるなど、病院側でコントロールが効くので、課題だった部分だけを切り分けてシステム化できたのが大きいですね。―システムを選んだ際の、一番の決め手は何でしたか?必要な機能が揃っている「機能性の高さ」に加え、「誰でも簡単に使える」というシンプルな操作性が決め手です。他社システムも検討しましたが、機能が多すぎて複雑だと感じました。どんなに高機能でも、導入が面倒でスタッフが使わなければ意味がないので、直感的に使えるシンプルさを最優先にしました。―なぜ「LINE」から使えることが重要だったのでしょうか?スタッフの年代も様々ですが、LINEなら全員が抵抗なく使えると判断しました。また、当院の地域は年配の患者様も多いのですが、LINE利用者が非常に多く、新しいアプリを導入してもらうよりもスムーズに浸透するだろうと考えました。結果として、その判断は正しかったと感じています。―「部分的な導入」だからこそ、Wonderが適していた点はありますか?「薬・フードだけ」「ワクチンだけ」といった、こちらが指定した特定のメニューだけを簡単に予約枠として設定できる点です。一般診察は従来のまま(予約なし)で、課題だった部分だけをシンプルにシステム化できる柔軟性が、当院のニーズにぴったり合っていました。"棲み分け"による業務効率化と患者満足度の向上―現在、Wonderをどのように活用されていますか?一般診察は今でも予約制にはしていません。Wonderを使っているのは、「ワクチン」「肛門腺絞り」「薬・フードの受け取り」という、緊急性が低く、処置内容や目的が明確なものだけです。これにより、一般診察の患者様と明確に導線を分けることが可能になりました。―「部分予約」を導入したことで、最も大きな変化・メリットは何でしたか?患者様の「棲み分け」ができたことが一番です。重症な患者様と、ワクチンや薬だけの方を時間的・空間的に分けることができ、患者様の「いつまでかかるの?」という不満の声がなくなりました。薬・フードの待ち時間も、ほぼゼロになりました。何より、これまで鳴り止まなかった電話が圧倒的に減り、スタッフが休憩をしっかり取れるようになったのは、非常に大きな変化です。―業務効率化の結果、病院全体にどのような良い影響が生まれましたか?まず、薬の準備に関するミスが減りました。 これまでは急な依頼で慌てて準備していましたが、Wonderで事前に注文を受けることで、手の空いた時間(午後の診察が暇な時間など)に余裕を持って準備・確認ができるようになりました。また、在庫管理が最適化され、薬剤のロスが減りました。 これまでは急な来院に備えて余分に在庫を持つ必要がありましたが、今は予約に沿って発注すれば良くなったからです。結果として、空いた人的資源やコストを、入院管理や本来の診察の質を上げる業務に回せるようになり、スタッフからも「すごくやりやすい」と好評です。